よくある質問に対する答えのブログ

2014年4月24日 木曜日

測定2回目の血圧なぜ下がる?(尼崎循環器内科医が答えます)

「1回目測定の血圧値と2回目測定の血圧値って、少し違うんだけど、どう評価したら良いのでしょうか?それにだいたい2回目測定の血圧値のほうが低いことが多いんだけど、これって、なぜ?」こんな質問です。
血圧の変動には3種類有りあります。下の図に示すように、"短期変動""昼間変動""日内変動"と時間軸で分類されています。(Conway, Journal of Hypertension, 1986) 佐々木はこれにもう一階層上の時間軸である"季節変動"を追加したいと考えます。


"短期変動" 主に自律神経活動によって規定されます。
"昼間変動" ヒトの精神的/身体的な活動の影響が出る部分ですね。職場で血圧が高いとか、ですね。
"日内変動" 2014/4/18と2014/4/19のブログで説明しましたね。主に睡眠/覚醒のリズムで規定されます。
"季節変動" 主に気温という環境要因ですね。


血圧の上がり下がりに関係する因子がどの変動に分類されるか?を下の表にまとめてみます。
  血圧上昇 血圧下降
短期変動 短い安静後の測定
喫煙後
尿意の我慢
(交感神経優位)
長い安静後の測定
食後
排尿後
(迷走神経優位)
昼間変動 業務中の測定
測定の習慣なし
麻痺側の測定
休憩中の測定
測定の習慣あり
健側の測定
日内変動 覚醒
(交感神経優位)
睡眠
(迷走神経優位)
季節変動 冬季
(寒冷)
夏期
(暑熱)

どうでしょうか?血圧の上がり下がりはどのような因子によって規定されるか、徐々に整理できてきましたね。ここで説明がまだ済んでいない語句が入ってきています。交感神経と迷走神経です。交感神経と迷走神経、2つの神経あわせて自律神経と呼びます。逆に自律神経は交感神経と迷走神経の2つで構成されているという言い方もできます。今回の話題提供にこの自律神経の話をぶっ込むのはチトしんどいです。自律神経だけで一冊成書が書けるほどですからね。ここは疼痛(痛み)に対する自律神経の反応だけご案内するにとどめたいと考えます。
   まさしく疼痛を自覚している最中 交感神経優位
   疼痛から解放されていく過程 迷走神経優位

佐々木がお話したいことが察しの良い方ならわかってきましたね。血圧測定の際にカフを上腕に巻きつけてギュウッと締め付けますよね。当然、痛みを感じるわけですが、このときの痛みの状態(最中なのか?解放の過程なのか?)が自律神経の状態(交感神経優位になっているのか?迷走神経優位になっているのか?)に影響を与えることで、血圧の上がり下がりが規定されると考えれば、もう解答のすぐ傍まできています。
『一回目の血圧測定の際の締めつけによる痛みからの回復の程度によっては、血圧は上がることもあり、下がることもある。すべての場合で下がるとは言い切れない。』というのが正解のようです。ただ佐々木の印象としては『疼痛から解放されていく過程という状態で、二回目の血圧測定となる方のほうが多いようで、血圧下がり気味となることが比較的頻繁に見られる。』と結論したいと思います。
ここでひとつ注意すべきは、只今ご案内しましたように、計測回数を重ねるたびに血圧は落ち着いてきますから、良い数値が出るまで計測を重ねるという測り方を続けていると、現実よりも血圧は低く評価されしまうこともありますから、計測する回数は程々にしてください。一生懸命計測することで、逆に高血圧が見逃されてしまっては、モトもコもないですからね。
(記載、管理医師;佐々木)
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2014年4月19日 土曜日

降圧剤が効きすぎ?(尼崎循環器内科医が答えます)

「収縮期血圧(上の血圧)が100mmHgだったので、びっくりして診療所に来たんですよ。先日から内服し始めた降圧剤が効きすぎているんじゃないでしょうか?」こんな質問です。
「血圧が不安定?」(2014/4/18付ブログ)でヒトの血圧の24時間変動をグラフで見ていただきましたが、あのグラフを理論的に思いっきり簡略化してサインカーブ(高校で習いましたよね、思い出してください、三角関数のサイン、コサインのサインですよ。)にしてしまいましょう。24時間で約40mmHgの変動がありましたから、平均値をはさんで±20mmHgの振幅と考えれば、時間軸はややイビツになりますが下のようなグラフに書き換えることができると思います。佐々木はこのグラフを血圧の変動を説明する際にいつも外来で使用しています。



ここでは話を簡素にするため、収縮期血圧(上の血圧)だけにしぼって話をすすめていきますよ。
降圧剤(血圧を下げる薬)の内服で平均的に収縮期血圧(上の血圧)が120mmHgまで管理できた患者さんを例に挙げてみましょう。この平均的に収縮期血圧(上の血圧)120mmHgという値が非常に良い管理状態であることの詳細な説明は不要ですよね。こういう患者さんでも±20mmHgの振幅を考慮すれば、血圧が一番高い時間帯(朝)では収縮期血圧(上の血圧)は140mmHg程度にはなることが予測されますし、血圧が一番低い時間帯(深夜)では収縮期血圧(上の血圧)が100mmHg程度にまで落ちてしまうことも充分ありえるのです。
理論的には血圧が一番低くなる時間帯は深夜ですが、一番低くなる時間帯が少しズレたりすると、先述の「びっくりしました。」と外来に飛び込んでいらっしゃった患者さんそのものです。佐々木はこういう場面では大慌てで降圧剤を断薬したり、変更したりすることは希です。『まず、しっかり家庭血圧を記録してください。もう少し検証が必要です。まずは平均的な血圧が安定しているでしょ。安心してください。ここは全然あわてる必要はありませんから。』と指導させていただくことがほとんどです。
今回、拡張期血圧(下の血圧)についてはハショりましたが、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の関係はまた別の【よくある質問】で触れさせていただくのが適切でしょう。
(記載、管理医師;佐々木)
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2014年4月18日 金曜日

血圧が不安定?(尼崎循環器内科医が答えます)

「いつ血圧を測っても、違う数値がでて、どの数値を信用していいのか?わからないんですよ。体がどうかしてしまったのか?血圧計が壊れてしまったのか?」こんな質問です。
ミもフタもない話ですが、血圧ってもともと変動します。実際には1心拍ごとに血圧値は違いますから(心臓は1日に約10万回収縮するので)、血圧は約10万通りの値を示すことになります。
これで終わってしまうと本当にミもフタもない話になってしまいますので、もう少し説明させてください。このようなご相談を佐々木にもって来てくださる患者さんは、(佐々木がご指導させていただいた通り)真面目に家庭血圧を計測されている患者さんが多いと思います。
厳密に言うと不安定ではなくて、ある程度、原則的な変動を24時間周期で上がり下がりしていると表現したほうがいいんでしょうね。この変動を"日内変動"と呼びます。またこの変動のリズムの部分に着目すると、このリズムを"概日リズム"と呼んだりします。
「家庭血圧はいつ計測する?」(2014/2/22付ブログ)にも関連する内容ですね。


    
図の読み方)朝9時と深夜3時の血圧を示しているタテの線に注目してください。朝9時は血圧180/110mmHgと読み取れますし、深夜3時は血圧140/80mmHgと読み取れます。収縮期血圧は24時間で40mmHg程度の変動があることがわかります。次に正常血圧の方のグラフに眼をうつしてください。高血圧患者さんだけでなく、正常血圧の方でも収縮期血圧は24時間で40mmHg程度の変動があることも、これらの図からわかります。

高血圧症の患者さんも、健常者も、数値こそ違いますがよく似た変動を示しているんですね。起床とともに朝にグッと血圧が上がって、日中~夕方にかけてはソコソコで、夕刻から下がり始めて、深夜に底をうつという変動パタンが見えますか?決して不規則ではなく、この一定の変動パタンを24時間周期で繰り返していると解釈してください。したがって計測するたびに血圧の値が変化しているので「不安定だ。」と思い込みがちですが、この変動パタンを念頭に置いてご自身の血圧を眺めてみてください。リズムが浮かび上がってきますよ。
このリズム(変動パタン)から逸脱するような血圧の上がり下がりを不安定と表現すべきでしょう。つまり不安定と判断するためには平素から家庭血圧を計測して、ご自身の大まかなリズム(変動パタン)を把握しておく必要があるということになります。
(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年3月30日 日曜日

高血圧の原因は動脈硬化?(尼崎循環器内科医が答えます)

ん~、違います。動脈硬化で血圧は上昇しません。
下図を見て頂ければ理解しやすいと思いますが、ヒトの体循環は電気回路に例えられます。

電池→心臓;これは詳細な説明は不要ですよね。心臓は血液を送り出す源です。電池だって電気を送り出す源って意味で、電源って呼び方もありますからね。電池にかかるのが電圧で、心臓にかかるのは血圧です。どうです?名称もぴったり重なるでしょう。
導線→血管;導線を流れるのは電流で、血管を流れるのは血流です。ここからがちょっとむつかしい。皆さんが考える血管というのは眼に見える大きさのものです。細血管~毛細血管はまず眼に見えません。毛細血管の直径...10μm程度というと、1mmの百分の1...まず肉眼では見えません。この肉眼で見えないような血管が電気回路で言う抵抗として働きます。抵抗として働く細血管~毛細血管のことを抵抗血管と呼びます。

ですから、抵抗→抵抗血管に相当するわけです。
さて、ここで中学校の理科で学習したことを思い出しましょう。
Ω(オーム)の法則...すぐに公式が出てきますか?電圧=電流×抵抗(E=IR)ですね。電流が一定ならば抵抗の値が大きければ電圧が大きくなるという公式ですね。血圧の世界にも、ほぼこの公式が当てはまって、血圧=血流×抵抗血管と考えていいわけです。ですから血圧上昇は抵抗血管の抵抗が大きくなった時に起こるのです。
何度も強調しますが、導線は電流を通すだけの通り道であるのと同じく、血管は血液が流れるだけの管に過ぎません。肉眼で見えるくらいの血管は先ほど述べたように、電気回路では導線ですから、血圧上昇には関わりません。
動脈硬化は肉眼で見えるくらいの動脈という血管に起こるものです。しかも高血圧が長時間続くことで、高血圧の結果として起こるものです。決して動脈硬化が高血圧を引き起こすものではありません。
(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年3月27日 木曜日

Ca拮抗剤の副作用?(尼崎循環器内科医が答えます)

カルシウム拮抗剤を内服している患者さんの発癌率が有意に大きいとPahor ら(Lancet,1996)が報告しました。服薬期間が長いほど発癌率が大きかったのなら、本当に相関があるんだろうけど、その記載がないとか、ツッコミどころはたくさんあるようで、いまだに決着していないようです。製薬会社のホムペには反証(Jick Hら Lancet , 1997)が記載されていたりします。
ただ、いまだに乳癌との因果関係(Christphar ILら Journal of the American Medical Association, 2013)や口腔外科領域の癌との因果関係(Friedman GDら Archives of Internal Medicine, 2012)などが報告されていることを考慮すると、この論争はまだまだ続きそうです。「2014.03.21ブログ...問題ないの?(1/2)」でも触れましたように論文って絶対的なものではないですからね。
カルシウム拮抗剤が広く使用されるようになったのは佐々木世代が研修医の頃。充分なデータの蓄積がないという意味ではおそらく我々が決着をつける世代ではないんでしょうね。後世のドクターの仕事になると思います。 
そういえば、カルシウム拮抗剤と胃腸障害の因果関係について述べた論文(Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics, 2012)もあり、これについても、ドクターの間では賛否両論あるようです。発癌は将来の話で、現実に眼の前でおこっていない話ですが、このように実際に患者さんが眼の前で副作用を思わせる症状(胃腸障害などはその代表だと思います)を訴えていらっしゃるのなら、『○○先生の論文によると、そんな副作用はあり得ないです。』なんてことを言う立場はとりません。まず佐々木は患者さんの訴えに耳を傾けると思いますね。だって佐々木は学者や研究者じゃなくて、臨床医ですから。試験管の世界に生きているんじゃなくて、現実の世界に生きているんですから。後世のドクターが学術的な決着をつけてくれたらいいんです。
副作用を思わせる症状があるのなら、ドクターが代替の処方を提案することで患者さんの安心に貢献できると考えます。頑固に「黙ってオレの処方を飲め!」って怒ったりするのは「生きた化石」先生ですよね。代替の処方を提案しようとすれば、大事なのはバックアップの薬。バックアップの薬を作り出すことは、新薬を開発する行為そのものです。これが当診療所の治験/臨床試験に協力している大きな理由です。
(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

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