管理医師のブログ

2014年4月28日 月曜日

糖質制限~3~(尼崎循環器内科医雑感)

糖質制限に賛否両論あるのですが、佐々木は基本的に中立です。現在少し劣勢の否定派の意見をご紹介して、加熱する糖質制限(低炭水化物ダイエット)熱を冷却するため、2014/4/27付のブログでは批判的なデータや記事を集めてみました。ダレもカレもが熱にうかされて、低炭水化物、低炭水化物と騒いでいることを大きなお世話かも知れませんが、少し心配しているからです。某STAban細胞のときの大騒ぎを思い出してください。日本国民は熱狂しやすいんでしょうね。
一方、2型糖尿病の発症機序を考慮すれば、糖質制限が本当に必要な方、効果的な方は間違いなく存在すると思います。糖質制限に対して日本糖尿病学会は注意勧告する立場を取っているのですが、欧米の糖尿病学会ではすでに一部容認する動きもあることはご存知でしょうか?日本糖尿病学会は少し保守的なのかも。今回は賛成派に加担した記事をご紹介してみましょう。
今まで紹介してきた記事がなんだったんた?というくらい全く逆の結果が報告されています。「糖質制限食で動脈硬化も増悪することが観察できなかった。」とか。

糖質制限食をめぐる議論の沸騰<2> (メディカルトリビューン)good
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr120702.html 

糖質制限食の安全性にエビデンス (メディカルトリビューン)good

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2014/M47070011/

糖質を摂取しすぎたら、糖尿病が増悪するのは当然の話。一定の制限が必要なのは間違いのない話。でも糖質ゼロは極端に過ぎる。現在は一日の全摂取カロリーのうち、糖質何%が適切であるか?を詰めていく段階=過渡期にあると考えたほうが良いんでしょうね。佐々木は研究者じゃないので、この論争の決着を見守るしかないのですが、アンテナを張り巡らせてしっかり情報収集していきたいと考えています。
次回は「糖質制限で癌の発症率が増加?」について考えてみたいと考えています。
(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年4月27日 日曜日

糖質制限~2~(尼崎循環器内科医雑感)

『糖質制限~1~』でもご案内しました通り、日本糖尿病学会の勧奨する望ましいエネルギー摂取の比率は、{糖質:蛋白質:脂質}={50~60%:20%未満:25%未満}と記載されています。近年の日本のエネルギー摂取の問題点は脂質エネルギー摂取の比率の上昇の方が大きな問題となってきていることは明らかであり、メディアがこの辺の事情をあまり取り上げず、バラエティ番組を中心に糖質エネルギー摂取の比率を下げる低炭水化物ダイエットが正しいかのような告知がされていることが誤解を生じさせていると思われます。事実、近年の日本人の嗜好はカロリー摂取のバランスの面で評価すると、糖質エネルギー摂取の比率は下がり続けています。米飯離れが言われるようになって、久しいですが、逆に糖尿病患者は増加していることも本当に糖質制限が糖尿病予防に有効なのか?疑問視されていることも触れておかなくてはいけないでしょう。

少し脱線しますが、このメディアの影響力というのは絶大で、外来診療をしていたら「先日、テレビで○○という症状を解説していた。私にピタリ適合する症状だ。その時にテレビで紹介していた◎◎検査をして欲しい。」と多くの方が来院されます。話をよくよく聴いてみると、原因は別のところにありそうですが、とりつくシマもなし、希望通りの検査などを施行するが、多くの場合はテレビ通りの検査結果は認められず。そこでやっと当方の意見も落ち着いて耳を傾けてくれるのですが、メディアは影響力が大きいという自覚を持って放送して欲しいものです。

まずは蛋白質エネルギー摂取の比率の上昇についての有害性に言及した研究をご紹介します。南カリフォルニア大学を中心とした研究チームが発表していますね。『50~65歳までに限ると蛋白質エネルギー摂取の比率が"20%超"のグループは"10%未満"のグループと比較して癌による死亡が4.3倍にのぼる。』という衝撃的なもの。書店にもたくさん低炭水化物ダイエット本が並んでいますが、その多くは有象無象の乗っかり本、一方的な自身の仮説を裏付けするデータばかりで、反証するデータの紹介は最小限にとどめ、言いたい放題です。
我々医療職が指導する糖質制限とはこの糖質エネルギー摂取の比率"50~60%"を逸脱している患者さんに向けてのものであるはずなんですが、いつの間にか、蛋白質エネルギー摂取の比率"20%超"を健常者に勧奨するかのように、化けてしまっているのです。ある種の腎臓疾患のもとでは蛋白質制限をしなくちゃいけないことだってあるのです。「糖質制限」がこんなふうに読み替えられてしまうなんて、言葉の独り歩き・・・恐ろしい。ただし65歳超では蛋白質エネルギー摂取の比率を上げることが、同じ論文で勧奨されていることもここで案内しておきます。独り歩きするキッカケを佐々木が作ってしまうことを望んでいませんからね。まぁ佐々木がそのような影響力を持っていませんから、心配することはないのですが。

つぎに糖質制限は必然的に蛋白質エネルギー摂取の比率増と同時に、脂質エネルギー摂取の比率増も意味することになります。このエネルギー摂取の不適切な比率構成は動脈硬化の危険因子となることに詳細な説明は不要だと思います。
低炭水化物ダイエットで癌や動脈硬化が引き起こされる・・・体重を落とすことが健康につながると信じて始めたダイエットなんでしょうが、体重を落とすことだけが目的となり、健康を害することになってしまっては、モトもコもないですよ。
(記載、管理医師;佐々木)

ぜひ閲覧してみてくださいgood
糖尿病ネットワーク;カロリー制限しない糖質制限は勧められない
    
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/019846.php 
メディカルトリビューン健康百科;極端な糖質制限食勧められない
    
http://kenko100.jp/articles/130319001402/ 

医療関係の方は閲覧してみてくださいgood
Vascular effects of a low-carbohydrate high-protein diet
(低炭水化物高蛋白食の血管への影響)
    
http://www.pnas.org/content/106/36/15418.full 
高脂肪食で食後高血糖を回避すると
             動脈硬化の進展も抑えられるのか
    
http://www.lifescience.jp/ebm/cms/ms/no.12/data.pdf  
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2014年4月26日 土曜日

糖質制限~1~(尼崎循環器内科医雑感)

メディアでダイエット番組をよく見かけます。低炭水化物ダイエットと称するダイエット法が一定の確立されたダイエット法であるような印象を受けるが、はたしてそうなのか?検証してみたい。
低炭水化物ダイエットは、おそらく、糖質制限とか低インスリンダイエットと同じ意味で使用されている言葉でしょう。

皆さんは極端な糖質制限は日本糖尿病学会から警告されていることはご存知でしょうか?医療という立場から語るのと、美容という立場から語るのとでは、おのずと違ってくるということだとは思いますが、この選択を突きつけられた時にどちらを選ぶかはあなた次第ということなんでしょうか?日本糖尿病学会は糖質+蛋白質+脂質のバランスを考慮した「エネルギー制限」を提言していて、蛋白質+脂質だけの偏ったエネルギー摂取「低炭水化物ダイエット」にはエビデンス(科学的根拠)がないとしている。
糖尿病を超えて大きく広がりそうな論点なので、佐々木視点でしばらく話題提供してみたいと思います。
(記載、管理医師;佐々木)

ぜひ閲覧してみてくださいgood
糖尿病ネットワーク;カロリー制限しない糖質制限は勧められない
    
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/019846.php 
メディカルトリビューン健康百科;極端な糖質制限食勧められない
     
http://kenko100.jp/articles/130319001402/ 
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2014年4月25日 金曜日

高血圧のダブルスタンダード(尼崎循環器内科医雑感)

ダブルスタンダード、意味を調べると『異なった価値判断の基準を状況によって使い分けること。二重基準。』と記載されています。まさしく、高血圧の判断の基準がこの"二重基準"になってしまったかのような、報道を見かけます。「日本高血圧学会と日本人間ドック学会とで、それぞれ高圧目標値・基準値と表現が異なるものの、血圧の正常値に2つの基準が存在することとなってしまいました。」というような記載が典型的なもの。
外来で患者さんからも「基準が上がってしまってビックリ!これから治療方針も変わるんですか?」なんて質問されることもしばしば。佐々木は『何一つブレません。』とお答えしているのですが、その理由を今回のブログで述べてみたいと思います。
  
  収縮期血圧 拡張期血圧
 日本高血圧学会
      ~降圧目標値~
130mmHg未満 85mmHg未満
 日本人間ドック学会
      ~基準値~
147mmHg以下 94mmHg以下

佐々木は、すでに『管理医師のブログ』(2014/4/18、2014/4/19)でも述べたように、ヒトの血圧は変動要因を考慮して評価すべきだという立場です。まずは2014/4/18のブログでも供覧した図で日内変動で40mmHg程度上がり下がりする様子を見てみましょう。
(注)ここでは話を簡単にするために収縮期血圧に限定しますよ。


 

   
図の読み方)朝9時と深夜3時の血圧を示しているタテの線に注目してください。朝9時は血圧180/110mmHgと読み取れますし、深夜3時は血圧140/80mmHgと読み取れます。収縮期血圧は24時間で40mmHg程度の変動があることがわかります。次に正常血圧の方のグラフに眼をうつしてください。高血圧患者さんだけでなく、正常血圧の方でも収縮期血圧は24時間で40mmHg程度の変動があることも、これらの図からわかります。

どうです。正常血圧の方でも150mmHg近くまで上がっている時間帯があるのを確認していただけると思います。人間ドックの基準値を120mmHgや130mmHgにしちゃうと、正常血圧の方でも150mmHg近くまで上がっている時間帯があるんですから、誤って高血圧症っていう診断になってしまう可能性も出てきます。日本人間ドック学会は全受診者から高血圧症患者をスクリーニング(抽出)するための基準を作成しているんですから、その人間ドックや健康診断の精度を上げるためには、147mmHg以下という基準にまで引き上げなくちゃ、正常血圧の方までも高血圧として拾い上げてしまう事例が出てきてしまうということです。そもそも今回の改訂までは低すぎたと言ってもいいでしょう。
日本高血圧学会と日本人間ドック学会とのダブルスタンダードを批判するために、知ってか?知らずか?マスコミもちょっと意地悪な書き方をしてますね。きちんと整理して読者を不安にさせないような報道をすべきだと思います。しょうがないので、佐々木が整理しましょう。降圧目標値というのは"日本高血圧学会の提唱する高血圧治療ガイドラインが定めるところのすでに高血圧症と診断された患者さんを適切に管理するための目標値"という意味合いです。日本人間ドック学会の全受診者から高血圧症患者をスクリーニング(抽出)するための基準とは、そもそも目的からして違います。もっと簡単に表現すると、人間ドック学会基準の対象者はドック受診者ですし、日本高血圧学会基準の対象者は高血圧症患者ですから、対象者が異なっているんです。これらの理由から、数値が違っていてもいいんです。
以上が佐々木が考える、日本人間ドック学会が基準を引き上げていい理由と、日本人間ドック学会の基準と日本高血圧学会のそれが異なっていてもいい理由です。
(記載、管理医師;佐々木)

ぜひ閲覧してみてくださいgood
 
メディカルトリビューン健康百科;2つの学会で異なる高血圧の基準、どっちが正しい?

     http://kenko100.jp/articles/140421002931/
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2014年4月24日 木曜日

測定2回目の血圧なぜ下がる?(尼崎循環器内科医が答えます)

「1回目測定の血圧値と2回目測定の血圧値って、少し違うんだけど、どう評価したら良いのでしょうか?それにだいたい2回目測定の血圧値のほうが低いことが多いんだけど、これって、なぜ?」こんな質問です。
血圧の変動には3種類有りあります。下の図に示すように、"短期変動""昼間変動""日内変動"と時間軸で分類されています。(Conway, Journal of Hypertension, 1986) 佐々木はこれにもう一階層上の時間軸である"季節変動"を追加したいと考えます。


"短期変動" 主に自律神経活動によって規定されます。
"昼間変動" ヒトの精神的/身体的な活動の影響が出る部分ですね。職場で血圧が高いとか、ですね。
"日内変動" 2014/4/18と2014/4/19のブログで説明しましたね。主に睡眠/覚醒のリズムで規定されます。
"季節変動" 主に気温という環境要因ですね。


血圧の上がり下がりに関係する因子がどの変動に分類されるか?を下の表にまとめてみます。
  血圧上昇 血圧下降
短期変動 短い安静後の測定
喫煙後
尿意の我慢
(交感神経優位)
長い安静後の測定
食後
排尿後
(迷走神経優位)
昼間変動 業務中の測定
測定の習慣なし
麻痺側の測定
休憩中の測定
測定の習慣あり
健側の測定
日内変動 覚醒
(交感神経優位)
睡眠
(迷走神経優位)
季節変動 冬季
(寒冷)
夏期
(暑熱)

どうでしょうか?血圧の上がり下がりはどのような因子によって規定されるか、徐々に整理できてきましたね。ここで説明がまだ済んでいない語句が入ってきています。交感神経と迷走神経です。交感神経と迷走神経、2つの神経あわせて自律神経と呼びます。逆に自律神経は交感神経と迷走神経の2つで構成されているという言い方もできます。今回の話題提供にこの自律神経の話をぶっ込むのはチトしんどいです。自律神経だけで一冊成書が書けるほどですからね。ここは疼痛(痛み)に対する自律神経の反応だけご案内するにとどめたいと考えます。
   まさしく疼痛を自覚している最中 交感神経優位
   疼痛から解放されていく過程 迷走神経優位

佐々木がお話したいことが察しの良い方ならわかってきましたね。血圧測定の際にカフを上腕に巻きつけてギュウッと締め付けますよね。当然、痛みを感じるわけですが、このときの痛みの状態(最中なのか?解放の過程なのか?)が自律神経の状態(交感神経優位になっているのか?迷走神経優位になっているのか?)に影響を与えることで、血圧の上がり下がりが規定されると考えれば、もう解答のすぐ傍まできています。
『一回目の血圧測定の際の締めつけによる痛みからの回復の程度によっては、血圧は上がることもあり、下がることもある。すべての場合で下がるとは言い切れない。』というのが正解のようです。ただ佐々木の印象としては『疼痛から解放されていく過程という状態で、二回目の血圧測定となる方のほうが多いようで、血圧下がり気味となることが比較的頻繁に見られる。』と結論したいと思います。
ここでひとつ注意すべきは、只今ご案内しましたように、計測回数を重ねるたびに血圧は落ち着いてきますから、良い数値が出るまで計測を重ねるという測り方を続けていると、現実よりも血圧は低く評価されしまうこともありますから、計測する回数は程々にしてください。一生懸命計測することで、逆に高血圧が見逃されてしまっては、モトもコもないですからね。
(記載、管理医師;佐々木)
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