管理医師のブログ

2014年6月30日 月曜日

10年目のAED(自動体外式除細動器)


最近このような看板をよく見かけませんか?「AEDってなんやろ?」で終わってませんか?
今回はこのAEDについての話題提供です。

心肺停止状態に対する処置、心肺蘇生術の決め手として期待を寄せられるAED(自動体外式除細動器)、医療従事者以外の使用が認められて10年。心肺停止状態は数分以内の心肺蘇生術開始が社会復帰を左右します。すでに導入された欧米では、心肺停止状態となった方がAEDのおかげで社会復帰を遂げる例が数多くあるものの、日本では設置されているAEDの数に比較すると、まだまだ運用がすすんでいないと記事は伝えています。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140618/bdy14061807310001-n1.htm 

とくに小中高等学校ではAEDの普及率は98%を超えているとのこと。これからの日本を背負って立つ児童生徒など子供たちの生命はこれによって救われて欲しいと願います。しかしながら学校現場では普及しているからこそのトラブルもあるようです。AEDが設置さているにもかかわらず、これが適切に運用されなかったと学校側が訴えられるような事例もあると記事は伝えています。う~ん、学校の先生は大変です。
http://mainichi.jp/select/news/20140625k0000m040176000c.html 
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20140620ddlk06040128000c.html 

市民への心肺蘇生術講習会(もちろんAEDの使用法も含む)も頻繁に開催されていますが、絶対的に受講者が少ないのか?受講していてもイザとなったら足がすくんでしまうのか?はたまた、まだまだAEDの設置台数が不足しているのか?
欧米に比較して低い「心肺停止状態からの社会復帰率」・・・10年を節目に総括するべき時期を迎えているのかもしれません。

(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年6月28日 土曜日

携帯電話マナー

ペースメーカーは徐脈性不整脈(心拍数が下がるタイプの不整脈)治療の絶対的な存在。皆さんも電車内に流れる携帯電話使用の制限を呼びかけるアナウンスを聞きながら、漠然と「携帯の電磁波ってペースメーカーに影響するんか?」と意識するくらいですよね。しかしながら、新規のペースメーカー植え込み術は日本全国で3~4万件。数十万人のペースメーカー装着者がそこかしこにいらっしゃるというデータもあります。以外にたくさんいらっしゃるとは思いませんか?
そこで、今回の話題提供。新世代のペースメーカーは電磁波の影響を受けにくいものになっているという記事を紹介します。先述の電車内でのアナウンスについても、関西の電鉄事業者では京阪・近鉄・阪神が見直しを検討中とのこと。これには電磁波の出力が弱いタイプの携帯電話への切り替えがすすんでいるという技術革新も一役買っているようです。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=100592 

このような状況の変化を背景に「電車内の通話・・・もう、いいんじゃないの?」みたいな意見がネット上で散見されますが、それは違うでしょ。混み合った電車内(に限らず、公共交通機関)での携帯電話の使用はマナーの問題。混み合ってなくても・・・かな。いずれにしてもハードウェアの性能機能の問題とは別次元の話。技術革新の度にヒトのモラルって低下していくのでしょうか?



なんとMRI(磁気共鳴画像)検査の電磁波にも耐えるペースメーカーまで出現との記事も。う~ん、モラルの危機。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=100032

(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年6月26日 木曜日

認知症と物忘れの違い〈1〉

「認知症と単純な物忘れの違いはどこで線を引いたらええんやろ?」と悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。単純な物忘れも「アルツハイマー病に代表される認知症の前兆なのでは?」とご心配なんですね。
この疑問に一定の回答となるような記事を見つけましたので是非ご一読を。

物忘れと認知症どう違う?(メディカルトリビューン健康百科 2014/6/22記事を要約)
http://kenko100.jp/articles/140623003015/


ヒントあっても思い出せないのが認知症
テレビに出演しているタレントの名前を思い出せない、友人との会話で「あれ」「それ」を繰り返すなどは、誰にでもよくあることで、年を重ねるうちに起こる「年相応の物忘れ」。
ある事柄を記憶しているというのは「記銘(認識し覚える)」「保存(脳にためて持っておく)」「想起(取り出して使う)」の各段階がそろって初めて言えること。
「物忘れとか忘れっぽさというのは3段階のうち想起の障害。例えて言えば記憶の"引き出し"に体験した事柄が入っているのに、引き出しがガタついてうまく取り出せないという状態」とのこと。考える時間やヒントがあれば、引き出しの中に残っている事柄を取り出すことができるという。
一方、認知症の場合は記銘や保存がうまくいかない状態で、引き出しには事柄自体が存在しないので、考える時間やヒントがあっても思い出せない。


カンニング能力の欠如というのもありますね。「本日の日付を言ってください。」という質問を認知症の診断のためのテストで被験者に投げかけることがあるのですが、診察室のカレンダーをチラチラ横見するヒトは認知症ではないことが多いです。カンニングというのは自らヒントを探そうとする行為でもあり、こういうヒトは認知症であるケースは希です。「なんでそんなことをアンタに答えなあかんのや?」とダダをこねはじめるヒトは、それこそ、引き出しに何もないから、怒り始めるんでしょうね。こういう反応は認知症でよく見られます。

さらにメディカルトリビューン健康百科の記事は以下のように続けます。

同じ質問の反復は要注意
昨晩食べたおかずがすぐに思い出せないのは普通の物忘れだが、認知症では食事自体をしたかどうかもはっきり覚えていないので、当然、おかずは何か言うことができない。
また、記憶は保存される時間によって即時記憶(ほぼ1分以内)、近時記憶(3、4分~数時間)、遠隔記憶(それより長い時間)と分かれる。認知症の場合は、近時記憶、即時記憶、遠隔記憶の順にその能力が低下する。
話の途中に同じ質問を繰り返すような人は、近時記憶の能力がうまくいかない状態なので注意が必要とのこと。


「百引く七」テストがあります。「百引く七は?」『93』「ではその数字からさらに七を引くと?」と続けていくテストなんですが、これは計算能力というよりも『93』という数字を覚えているか?という即時記憶を評価するテストです。
これら【同じ質問を繰り返す】【「百引く七」テストが低成績】などの近時記憶・即時記憶から障害されていく場合、認知症の可能性が大きくなります。



(記載と要約、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年6月24日 火曜日

一般紙にも認知症治療薬の話題

一般紙にも認知症治療薬の話題が載る時代なんですね。まずはその記事。

アルツハイマー型認知症、治療薬複数登場で使い分けも可能に(2014/6/17付 産経WEB記事要約)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140617/bdy14061711090004-n1.htm 
アルツハイマー型認知症患者に対する治療薬は現在、4種類。患者の背景に合わせ、選択できる。
アルツハイマー病を対象とした治療薬で最も古いのは、平成11年に発売されたアリセプト(一般名・ドネペジル塩酸塩)。アルツハイマー病を発症すると、脳の神経伝達物質のアセチルコリンが減少する。アリセプトは、アセチルコリン分解酵素(コリンエステラーゼ)を阻害し、アセチルコリンの減少を食い止める作用機序。これによって、注意力低下や意欲が改善され、生活機能が上がる。
アリセプトだけで行われていたアルツハイマー病治療だが、平成23年に次々と新薬が登場。レミニール(一般名・ガランタミン臭化水素酸塩)、イクセロンとリバスタッチ(ともに一般名・リバスチグミン)はアリセプトと同じ作用機序で、コリンエステラーゼ阻害薬だ。
別の作用機序の薬も同年、登場した。アルツハイマー病が進行すると、脳の神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰となり、脳神経のNMDA受容体も過剰に活性化する。記憶の定着を邪魔したり、脳神経そのものを傷付けたりしてしまうが、このNMDA受容体を阻害し、認知機能を改善するのがメマリー(一般名・メマンチン塩酸塩)。コリンエステラーゼ阻害薬と併用でき、焦燥感やイライラした状態、攻撃性も抑えられるという。
選択肢が増えることで個々の患者の背景を見ながら薬剤を選択できる。例えば、コリンエステラーゼ阻害薬でもレミニールは「ボーッとしている患者」に、残り2薬は「シュンとしている患者」に、など期待されている。



難解な言葉も混じっていますが、まずまず簡潔に認知症治療薬をまとめてくれている良い記事です。でも実際に治療に当たっている立場から発言すると、光の部分ばかり・・・、期待が大きいのはわかるけど、陰の部分も入れて記事にしないと、皆さんがガッカリしてしまいます。
まずはこれらの薬剤は認知症治療薬という分類でひとくくりにされていますが、認知症が治癒するわけじゃないですからね。認知症にまつわる症状を抑制させる薬と理解していただいたほうが良いと思います。例をあげると「意欲の低下」「焦燥感」「介護への抵抗」などの改善は期待できますが、認知症がすっかり治癒してしまうことはないんです。
それからこれらの薬剤がどの患者さんにもすべからく効果があるというものでもないんです。記事にも個々の背景が大事みたいなことが記載されていますが、内服しての効果の有無・・・、かなり患者さんごとに違うような印象です。また効果がないから、と言って、(用法容量の範囲内で)増量しても効果が顕著にあらわれるというものでもないし、患者さんによっては余計に興奮してしまって、かえって良くないこともあります。
一般紙の記事に陰の部分を追加してみました。
(記載と要約、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年6月22日 日曜日

ディオバン事件再考

「特定の血圧を下げる薬(降圧剤)が、特異的に脳卒中を減らす。」こんなデータが「ある臨床研究」によって導き出されたと、専門誌の広告にバンバン出ている時期がありました。その「臨床研究」の名称は「KYOTO HEART STUDY」「JIKEI HEART STUDY」などに代表される複数のディオバンにかかわる「臨床研究」です。前回のブログでは「臨床研究」の制度としての脆弱性を当方の実施している「治験」と比較して述べましたが、今回は「怪しげなデータが飛び交うところまでは容認しましょう。でもこれを受け取る側の真贋を見極める能力も必要。」という話を。
「いいかげんな試験の結果に基づく製薬会社による大規模なPR活動によって臨床現場の医師が間違った認識を植えつけられた。そうした中でディオバンの処方は拡大していった。」と東洋経済ONLINE( http://toyokeizai.net/articles/-/28343 )は伝えています。2014-2-17ブログでも記載しましたが平成24年度で売り上げ1千億円を超えていたんですね。ディオバンって。ベスト3ですよ。すでに問題となっていた時期にもかかわらず、ですよ。これじゃぁ我々医師も宣伝文句を信じ過ぎと批判されても仕方ないですね。
しかしながら、読み手が真摯に高血圧治療に向かい合っているなら、「KYOTO HEART STUDY」「JIKEI HEART STUDY」などの結果を見ると、違和感を覚えずにはいられないはず。下の図は当診療所のディオバンと同じ種類に分類されるARB系降圧剤処方の実績(配合剤含む)を%表示したもの。

図1 平成21年5月の当診療所が処方したARB系降圧剤


図2 平成26年5月の当診療所が処方したARB系降圧剤

「KYOTO HEART STUDY」が発表された年の5月のデータ(図1)と今年5月のデータ(図2)ですが、当該薬剤の処方は当時から非常に少ないという結果でした。当該薬剤をもてはやす世の趨勢からは離れて、我が道を行く、5年も前のことなので、はっきりとした記憶には残っていないのですが、当時から怪しんでいたんでしょうね。「このデータはおかしい!」と学会に抗議したツワモノの先生(拍手喝采)もいらっしゃたのですが、佐々木のように静かなる抵抗者もいたという、それを物語るデータです。
(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

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