管理医師のブログ

2014年9月30日 火曜日

血管の病気〈1〉...総論

心臓の病気については、よく外来診療で診せていただくものを中心にご紹介してきましたが、、ひと区切りとします。今回以降は血管の病気について、できるだけ平易に解説してみたいと思います。



血管はまづ大きく動脈】静脈】で大きく2つに分けられます。
また、血管は血液の流れる管。所詮は管ということを考えると、管という筒状のものの形態的な異常は、【つまる(閉塞)】【ほそくなる(狭窄)】【ふくらむ()】【やぶれる(破綻)】の4つに分類できるでしょう。
ですから、これらの組み合わせ、2×4通りの病態が考えられるわけですね。

 

脈 

 閉塞しやすい部位というのがあります。
 好発部位と呼んだりします。
 道路に例えると、いつも渋滞してる料金所とか、
 事故の多い魔のカーブ、みたいな。
 また血液の流れを川に例えると、
 閉塞は堰止められたのと同じ。
 堰止められた所から下流は流れが断たれ、
 干からびます。
 これがヒトでは閉塞した血管より下流の
 臓器/器官の機能停止という事態となります。
 通常、血管がつまると痛みを伴います。
 


 狭窄は閉塞の一歩手前。
 閉塞は、血栓という凝血槐によって血管が
 堰止められる状態ですが、狭窄は、血栓が生じたり、
 溶けたりを繰り返している状態とも考えられています。
 ですから、好発部位も必然的に、閉塞と重なります。
 完全に堰止められるわけではないので、
 臓器/器官も機能低下というところですが、
 狭窄も、閉塞同様、痛みを伴うことが多いです。
 ちなみに、痛みは虚血症状です。
 臓器/器官への血液の供給が滞ることを
 虚血と呼称します。
 
 

 
 
 

 動脈硬化というと血管が硬くなるというイメージですが、
 硬くなるということは、しなやかさが失われることでもあり、
 もろくなるということでもあります。
 もろくなった血管の壁は内側からの血液の勢いや圧力に
 負けて風船のように膨らむことになります。
 これが動脈瘤です。
 瘤が小さいうちは無症状で経過しますが、
 物理的に瘤が周囲を圧迫するほど大きくなることで
 さまざまな症状が発現します。
 これがパチンと弾けると動脈瘤破裂という次なる事態に
 進展することになります。
 


 動脈瘤が弾けた後の次なる事態がこれに当該します。
 実は瘤が破綻した後のほうが、物理的な圧迫症状は
 瘤が圧迫するよりも、より重篤です。
 破綻した後の血管外の血液溜まりを血腫と呼びますが、
 血腫のほうが、瘤より体積が大きくなるということです。
 


 血栓という凝血槐は静脈も堰止めます。
 実は、血栓という凝血槐は、完全に静脈を堰止めることは
 少なく、血栓が生じたり、溶けたりを繰り返していると
 考えられているため、完全閉塞は少ないと考えられます。
 動脈の血流が妨げられた際には、
 堰止められた部位より、下流に問題が生じましたが、
 静脈の血流が妨げられた際には、上流に問題が生じ、
 むくみ(浮腫)という症状が発現します。
 むくみ(浮腫)は腫れ(腫脹)ではありません。
 むくみは痛みを伴わず、腫れは痛みを伴います。
 


 狭窄では血栓が付着しやすくなるでしょう。
 静脈閉塞の解説とほぼ同じ内容です。
 
 

 静脈弁の損傷により、静脈血の流れが滞り、
 滞ると、血管径が太くなり、
 太くなると、さらに静脈弁のタガが緩みます。
 この悪循環で、静脈弁が機能しなくなると、
 静脈瘤となります。

 典型的には下腿(ふくらはぎ)の静脈が
 数珠もしくはポンデリングみたいにボコボコになります。
 静脈瘤も血栓が付着しやすい状態の一つです。
 


 内科的にはあまり無いでしょうね。
 採血した際に青タンができることがありますが、
 これのことですね。

これから後しばらくは、それぞれ2×4通りの血管の病気について、もう少し詳細に(でも平易に)解説してみたいと考えています。

(記載、管理医師;佐々木)
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク
Deliciousにブックマーク

投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年9月25日 木曜日

心臓の病気〈6〉...失神

2014-9-8のブログ記事で3つに心臓の病気を分類しましたが、それらのうち、今回は【その3】、失神の発現のメカニズムについて記載します。ちなみに、失神は英語ではsyncope(シンコピ)なのですが、失神一歩手前にはpresyncope(プレシンコピ)という小洒落た表現(あくまで個人的な意見です)があります。日本語ではプレシンコピというような小洒落た表現はないですね。えっ、前失神sweat01...ダサくないですか?sad

意識が無くなれば失神というものでもありません。我々の世界では定義がやかましいので、似て非ざるものを列挙して比較してみましょう。似て非ざるものを眺めることで、失神の本質が見えてくるはずです。
 失 神  心臓に原因あり、正確には心血管性失神と呼称する
 心臓からの血液拍出が維持できなくなる病態
 ショックが典型的ですね
 ショックの例→出血性ショックやアナフィラキシーショック
 
 重症もしくは致死性の不整脈もこれに分類
 自律神経発作(血管迷走神経反射)もこれに分類
 意識障害  心臓に問題なく、中枢神経(脳)のダメージが原因
 心肺機能は維持されている
 器質的な問題の例→脳卒中や脳外傷によるダメージなど
               熱中症や脳死もこれに分類
 機能的な問題の例→てんかん や
               椎骨脳底動脈循環不全症など
 その他  低血糖発作や電解質異常など代謝系の問題

少しばかり、専門的になり過ぎてしまいましたね。ざっくり言うと、失神は循環器内科医の守備範囲で、意識障害は神経内科医や脳外科医の守備範囲、その他は代謝内分泌内科医の守備範囲という棲み分けで理解していただいてよろしいのではないでしょうか。この棲み分けを考慮していただいて、受診する際、どの標榜科に行こうか?というときの参考にしてください。

出血性ショック、アナフィラキシーショック、迷走神経反射などの解説は2014-9-16のブログ記事を訪問してみてください。

(記載、管理医師;佐々木)
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク
Deliciousにブックマーク

投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年9月22日 月曜日

心臓の病気〈5〉...心不全の原因

2014-9-19のブログ記事で記載しましたとおり、心不全は心臓のポンプ機能そのものが損なわれる病態なのですが、心不全を発症させる原因がいろいろありますよ、ということを今回はご案内していきたいと思います。あわせて心不全症状に先立って発現する症状もご案内します。2014-9-19のブログ記事の補足記事ですね。

心不全の原因疾患をまとめてみます。

■ 心筋症 心臓の筋肉が正常に収縮できなくなる原因不明の病気です。心臓移植の適応となる心臓病ですね。心不全症状から始まることが多いでしょう。でも心不全症状に先立って、健康診断で異常心電図や不整脈が病気発見のきっかけになることも多いです。同じく健康診断の胸部エックス線撮影で心臓が大きいとか指摘されることが病気発見のきっかけになることもあります。ただし、「健康診断で心臓が大きいって言われたけど、心臓移植せなあかんの!?」というのは考えすぎですからね。念のため。あくまで発見のきっかけですよ。

■ 心筋炎、心包炎 ウィルスの感染などで発症しますから、発熱など、いわゆるカゼ症状が心不全症状に先立って認められるはずです。「風邪かなぁ?」と思っていたら、熱はなかなか下がらないし、呼吸も苦しくなってきた...こんな感じで、何軒か、診療所をハシゴしてるうちに、たまたま受診した循環器のドクターに「単純な風邪やなさそうですよ。」と指摘されるというのが典型的な病歴でしょう。急に心不全症状があらわれて、救急搬送となって、診断がつくというような場合もあります。

■ 心タンポナーデ 物理的に心嚢(心臓の上に一枚かぶっている薄皮と表現しましょうか?)にダメージがないと発症しません。心臓と薄皮の間の腔に血液がたまるというのが典型的な病態です。外傷で起こることが多いでしょう。大動脈解離で動脈の破れ方によっては、心臓と薄皮の間の腔に血液が流れ込み、心タンポナーデとなることもあります。

■ 心筋梗塞 現在、心不全の原因疾患として最も数が多いのは心筋梗塞じゃないでしょうか?冠動脈(2014-8-27ブログ記事)、つまり動脈が閉塞して発症する疾病なので、実は血管の病気です。
冠動脈という心臓への燃料供給の配管が詰まって、心臓というポンプに燃料を供給できなくなる結果、血液が供給されない心臓(心筋)は極端に動きが悪くなることでポンプ機能が損なわれ、ついには心不全に至ります。通常、激しく絞め付けるような胸の痛みという心筋梗塞の症状が心不全の前に発現します。
日本人の疾病構造が変化してきていると言われて久しいですが、尼崎市内だけでも冠動脈インターベンション施設(心筋梗塞をカテーテルという管を駆使して専門的に治療する施設)が数カ所あるくらいです。詳細は【血管の病気】で記載することとしましょう。

■ 心臓弁膜症 心臓の弁(2014-8-22ブログ記事)の機能が損なわれると、血液が弁を通過するに際し過剰な抵抗が発生したり(弁の開放のトラブル)、血液が行きつ戻りつとなってしまったり(弁の閉鎖のトラブル)、で、心臓は効率の悪い動きを延々繰り返すことになり、疲弊しきってしまって、徐々に心臓(心筋)は動きが悪くなり、長期的には心臓の正常なポンプ機能は維持できなくなり、ついには心不全に至ります。通常は緩徐に心不全が完成します。
ところが、細菌の感染による急速な弁の破壊、弁と心筋を結わえている腱索というヒモ状の構造物の離断、などでは短時間のうちに心不全が完成しますので、心臓としても事前にかまえていなかったものですから、重篤になることが多いです。これらを弁膜症に含めて良いのか?という意見もあるのでしょうね。たとえば、細菌の感染による急速な弁の破壊というのは感染性心内膜炎という感染症に本来分類されるものですからね。教科書じゃなくてブログなんだから許していただきます許してくださいhappy01

■ 先天性心疾患 生まれついて心臓の構造に奇形がある病気を先天性心疾患と呼称しますが、これも心不全の原因となりえますが、当診療所は小児科を標榜していないので、これは割愛させていただきますcoldsweats01

(記載、管理医師;佐々木)
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク
Deliciousにブックマーク

投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年9月19日 金曜日

心臓の病気〈4〉...心不全

2014-9-8のブログ記事で3つに心臓の病気を分類しましたが、それらのうち、今回は【その1】【その2】の症状の発現の仕方について記載します。心臓のポンプ機能そのものが損なわれる病態を心不全()と呼びます。ですから今回は、ほぼ心不全の症状を説明することになります。

★) 皆さんは心不全というと、亡くなる一歩手前みたいな印象を持っているかもしれませんが、2014-9-8のブログ記事で記載しましたように、血液を心臓から送り出す血液の量(心拍出量)は1回の拍動で約50mL、1分間では約3~4Lという正常範囲を下回ると心不全です。ですから心不全という傷病名をお持ちの方は、実は、たくさんいらっしゃいます。

心臓のポンプとしての機能(血液を送り出す機能)が損なわれたときの症状=心不全の症状を挙げてみます。
  症 状   原 因  
 全身倦怠、呼吸苦、喘鳴  肺のうっ血  A
 食欲低下、肝機能異常  消化管、肝臓のうっ血  B
 むくみ(浮腫)、とくに足  下肢静脈のうっ血  B

列挙してみると、心臓そのものの症状って、あまりないんですね。血液の流れという視点で見ると、すべて心臓に血液が返ってくる手前の臓器/器官で発現していますね。これは心臓のポンプ機能が損なわれて、心臓に血液が返ってくる手前でうっ血(道路事情で言うところの渋滞)が起こっていることに原因します。例えるなら、中国自動車道下りが宝塚トンネルの事故で渋滞して、吹田あたりがえらいことになってる、みたいな。(ローカル過ぎる例えで申し訳ありませんcoldsweats01



A(左房を心臓への入口とする手前の肺静脈、つまり肺)でうっ血が生じた場合、肺の症状が発現します。肺水腫とも呼称される状態で、息苦しさが主たる症状となります。また坐ると呼吸が楽になるので、起座呼吸という症状で呼称されることもあります。息がしんどいのか、体がしんどいのか、ようわからんということで全身倦怠みたいな訴えになることもあります。
さらに心臓の内部である左房にまでうっ血が及ぶと、左房拡大が発現します。左房の拡大が生じると、僧帽弁の破壊や、不整脈を生じさせたり、することで、さらに心臓のポンプ機能が破綻(はたん)し、心不全としてもう収拾がつかない状態(適切な治療なしでは日常生活に支障が生じる状態)となってしまいます。

B(右房を心臓への入口とする手前の下大静脈系)でうっ血が生じた場合、下大静脈に灌(そそ)ぎ込むさまざまな静脈で問題が生じます。消化管系の静脈は、門脈を経て、肝静脈から、下大静脈に灌ぎ込むのですが、消化管系の静脈にうっ血が生じると、食欲低下という症状が発現することがありますし、肝静脈のうっ血で肝機能障害が発現することがあります。
下大静脈には、下肢(足)からの灌ぎ込みもありますので、下肢(足)の静脈のうっ血でむくみ(浮腫)が発現します。この症状を下腿浮腫と呼称します。

(記載、管理医師;佐々木)
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク
Deliciousにブックマーク

投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年9月16日 火曜日

心臓の病気〈3〉...心臓のカラ打ち

2014-9-12ブログ記事の続き【その3】からですね。

【その3、心臓は正常に拡張/収縮していても、そもそも、送り出すための血液が無くなってしまって、心臓は拍動していてもカラ打ちになる】
厳密に言うと、心臓の問題ではないのでしょうが、ここに入れてしまったほうが収まりが良かったもので...。ブレブレなんですが、この記事はいちおう患者さん向けというテイ(設定)なので、そのあたりはご容赦いただきたいと思います。
さて、血液が無くなるってどういう状況なのだろうか?と考えていらっしゃると思いますが、2つに分類して考えてみましょう。
   
 血液が体外へ  出血性(失血性)ショック
 血液は体内にとどまりながら  アナフィラキシーショック、ほか

【血液は体外へ】の出血性ショックについては多くの説明は必要ないでしょう。心臓が血液を送り出そうとしても、そもそも、出血というかたちで、血液はすでに体内に無いのですから。当然、出血性ショックの原因は外傷などです。

「出血しているわけでもないのに、心臓から送り出す血液が無くなるなんて...?」と普通思いますよね。なので【血液は体内にとどまりながら】はややていねいに記載してみます。
アナフィラキシーショックは、ハチに刺されたときなどに起こることで良く知られています。でもハチの毒そのもので起こる症状ではありません。食餌性でもアナフィラキシーショックは起こりうるのですが、即時性のアレルギーに起因する病態です。ハチの毒に含まれるタンパク質へのアレルギーと考えてください。メディエーター(媒介物質)と呼ばれる物質が免疫に係わる細胞からドッと放出されて症状を引き起こします。なかでも、ヒスタミンは細動脈の血管拡張に加えて、血管の透過性を高め、血管外の組織に液体成分が流れ出てしまうことで、心臓がカラ打ちになってしまいます。
 
アナフィラキシーショックのほかに、自律神経発作というのもあります。迷走神経反射とも呼ばれます。これについては2014-4-24のブログ記事でも触れています。2014-4-24のブログ記事では「疼痛に起因する自律神経の影響で血圧は上がったり、下がったりするんですよ。」ということだけ記載しているのですが、迷走神経の影響が強く出すぎると、心臓がカラ打ちになって、ショックと同様の状態となって、失神発作に至る場合もあります。この迷走神経の影響が強く出すぎる状態は、「疼痛」だけでなく、「驚愕」という情動や、「咳嗽」「下痢」「嘔吐」という症状でも発現します。ドラマで驚きすぎて、気絶するという演出がありますが、ウソじゃないんです。なんと立っている(起立している)だけで発現することもあります。高校や中学のときに、朝会が長くなった時に倒れる、というような場面(皆さんは「ヒンケツ」と呼んでますね)に誰しも、一度くらいは、ご自身が倒れなくとも目撃したことくらいはあると思いますが、あれもこの迷走神経反射です。
 
(記載、管理医師;佐々木)
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク
Deliciousにブックマーク

投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

アクセス


大きな地図で見る
【住所】
〒660-0827
兵庫県尼崎市西大物町12-41
アマゴッタ4階医療センター

お問い合わせ 詳しくはこちら