管理医師のブログ

2014年10月24日 金曜日

医療否定本考〈1〉

■ 序
医療否定本についてはいちどブログ記事(2014-5-12)にしましたが、あれからしばらく時間が経って、考え方に変化が生じてきたので、自身の記録ということも含めて、一回、書面に起こしておこうと思いました。
考え方にどんな変化が現れたのか?というのは、追って記載していきますが、変化のきっかけはこれらの医療否定本をめぐる論争の主役が患者さんではないということに気付いたことです。おそらく一番の当事者である患者さんは、「医者どうしがわけのわからん専門用語やデータを駆使して、内輪モメ、、縄張り争いしてるわ。」くらいの意識しかないんじゃないでしょうか?
また、医療否定本をめぐる論争の主戦場は「がん」についての記載です。現在、循環器内科医の守備範囲についてのブログ記事を連続で記載していますが、心臓や血管って「がん」がほとんどみつからない器官なんですよ。ですからこの論争には割り込むのは気が引けるところなんですが、逆に、ニュートラルな立場で発言できると思います。したがって発言内容はマインド(?)の部分であり、「がん」診療メインの先生方からは「ペラッペラやな。」と言われそうですが、医療関係者以外の方には少しでもマインドに響いていただければ、さいわいです。

それにしても、いかがなものでしょう?このおどろおどろしい、グロテスクな表題「医者に殺される・・・」は。



■ 主 張
【医者に殺されるってそんなにいけないことですか?】
もちろんこれは皆さんがご存知の「医者に殺されない47の心得」(近藤誠著)からパクったコピーです。著者先生より若輩の佐々木がこんな昔話をするのもナンですが、医者に【殺して=看取って】もらえるっていうのは、その昔、ほんの一握りの富裕層にしかできなかったことですよね。現在は保険制度・福祉医療制度が整備されているので、誰だって医者に【殺して=看取って】もらえる貧富の差が縮まったい~い世の中。医療の恩恵にあずかるのはほんの一握りの富裕層だけだった昔と比較して、い~い世の中になったなぁ、と感謝するほうが健全ですよ。
感謝しろ、感謝しろ、と、医師である立場の佐々木があんまり言うと、変な意味になってしまうので、強調できないのですが、今の世の中は権利意識ばかりが大手を振っていて、感謝するという謙虚な気持ちが足りなくなってきていると思います。
しかしながら、医療側に怠慢や傲慢があってはいけないと思います。「昔やったら診てもらえんかったんやぞ!」とふんぞり返るのも、これはまたこれで時代錯誤の生きた化石・平成の妖怪先生。医師法と療養担当規則に規定されているように、我々医師は【診察治療の求】(医師法19条)があった場合には、【懇切丁寧に】(療養担当規則13条)しかも【心理的効果も挙げられる】(療養担当規則14条)ように診療や指導にあたらなければいけないのです。
「そんなホトケ様みたいなドクター、どこにおんねん。」...なるほど、そうですか、妖怪はおっても、ホトケはおらんと、半分あきらめてはるんですね。でもね、皆さん、さいわいなことに辻辻にあるコンビニと同じくらいクリニックは乱立しているのです。(当地、尼崎市では400を超える医療機関があるとのこと)
たくさんの乱立するクリニックのなかから、【殺して=看取って】もらえる、つまり【最期までまかせる】ことができる、信頼できるお医者さんを皆さんが選ぶことができる環境になってきているんです。医療否定本を読んで悶々としていても何も始まりません。

さぁ、皆さん、書(医療否定本)を捨て、街へ出ましょう!そして、信頼できるドクターを探してみませんか?
さらに近年はネットという環境も提供されていますので、街に出なくてもドクターを探すことが可能です。



そして、当診療所に【最期までまかせ】てみようかな、と皆さんに選んでいただけるのであれば、評価していただけるのであれば、これ以上、光栄なことはありません。

(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年10月21日 火曜日

血管の病気〈7〉...PAD

2014-10-4ブログ記事では、3つの動脈閉塞の好発部位は【脳】【心臓】【足】とご案内しましたね。このうちの【足】について、今回は記事にしてみたいと考えています。



動脈の閉塞・狭窄 ; 足の病変

PADは【Peripheral Arterial Disease】の略です。和訳では【末梢動脈疾患】。以前は閉塞性動脈硬化症と呼称されていましたが、いまはひとまとめにして、四肢の末梢動脈が閉塞したり、狭窄したり、の総称として使用されている言葉です。四肢といっても、足の動脈に多く認められる病気なので、ブログ記事では足にしぼって解説したいと思います。



この疾病を循環器内科が見逃さないために、一番大事なことは【PADを疑う】ことだと思います。しかしながら、循環器内科がそのように心掛けていても、患者さんは足の痛みで症状が現れるものですから、整形外科の先生に相談されることも多いようです。したがって、整形外科の先生によって、診断されることも必然的に多くなるわけで、当方の外来で血圧管理中の患者さんですら、【PADを疑う】ことが大事だと知っていながら、整形外科で診断されて、逆紹介なんてこともあります。ことほどさように、筋肉・骨格・関節の病気との見分け(我々の世界では鑑別診断と呼びます)は難しいですね。

図にPADの重症度分類を示します。間欠性跛行という言葉が難しいですね。【かんけつせいはこう】と読みます。歩くと痛みがでますが、しばらく休むと痛みがなくなる、という症状を間欠性跛行と呼称します。どうでしょうか、皆さん、図のⅠ度~Ⅲ度くらいまでなら、整形外科を受診しませんか?「足が痛いから、整形外科に行ってみようかな。」と受診してみたら、足だけじゃなくて、心臓までたいへんなことになっていた、ということもあるんですよ。
PADはアテローム動脈硬化が原因なのですが、動脈硬化は全身疾患。足だけに限らず、冠動脈という心臓に血液を供給するためだけの動脈や腎臓に血液を供給する動脈にも、閉塞一歩手前の狭窄が発見されることも稀ではありません。先述の通り、足が痛いだけやったのに、心臓の手術まで必要でした、という患者さんも経験したことがあります。



PADの検査法

そこで頼れるのが、【四肢血圧検査】です。「手足の血圧をいっきに計測してみましょう。」という検査ですね。当診療所でも既に導入済みで、診療所facebookページ2014-05-02にも記事にしていますので、閲覧してみてください。【四肢血圧検査】は数分で終了する検査ですから、近隣の方はご遠慮なく、当診療所までお問い合わせください。




PADの治療法

治療法は先述のPAD重症度分類に従って選択されます。


血管形成術はバルーンという水風船で血管を押し広げる治療法です。ステント留置術はステントという筒状の金属製の輪っかを狭窄部位にカマせる治療法です。2014-10-04ブログ記事(虚血性心疾患)でもこれらに触れてますね。冠動脈であれ、足の血管であれ、同様の処置がおこなわれます。
  


バイパス術は外科でしかおこなっていませんが、血管と血管を人工血管で繋いでしまおうという荒技です。



動脈の閉塞・狭窄については、よくある病気【common disease】はだいたいご紹介できたかな、と思っています。次回からは動脈の拡張・破綻。

(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年10月17日 金曜日

血管の病気〈6〉...ラクナ梗塞

症状がでない脳梗塞(脳血栓)があります。「無症候性脳梗塞」とも呼ばれているラクナ梗塞です。「ためして〇ッテン」では「隠れ脳梗塞」とか呼んでましたね。



動脈の閉塞・狭窄;ラクナ梗塞

典型的にラクナ梗塞をおこしやすい場所というのがあります。それは、中大脳動脈の穿通枝と呼ばれている枝別れした血管です。道路に例えてみると、幹線道路に繋がっている道がいきなり一車線、車がすれ違う際に注意が必要というくらいに細くなってるようなイメージですかね。阪神電車で例えたら、武庫川線。阪急電車で例えたら、伊丹線、もしくは今津~西宮北口間の今津線。もう、ええか。もちろん幹線道路は中大脳動脈で、細い道が穿通枝。急に車線が減少すると渋滞しますよね。こういう場所は道路事情でも急所ですが、人体でも同じこと。2014-10-7ブログ記事に記載したプラーク(粥腫)が少し育っただけで、血管が細いので、すぐに閉塞に至ってしまうわけです。

図を解説します。穿通枝( #1 )は先述しました通り、かなり細い動脈です。細い血管であるがゆえに、閉塞したとしても、さいわいなことにダメージを被る領域も少なくて済むんです。ダメージの範囲は5mmφ程度といわれています。(ラクナ梗塞の定義は15mmφ未満)ダメージの領域が小さいので無症状で済む、というわけです。それで、別名;無症候性脳梗塞または隠れ脳梗塞。
2014-10-10ブログ記事の中大脳動脈の血栓( #2 )で発症する脳血栓の場合のダメージの範囲と比較してみると、脳血栓の場合の場合は堰止められた下流域全部がダメージの範囲となるわけですから、重症となることは、推して知るべし、ですね。



塵も積もれば山となる。一個一個のラクナ梗塞は小さくとも、数が増えてくると、やはり症状があらわれてきます。外来でMRI画像を説明するときなどは「ラクナ梗塞点在という状態なら、大きな問題は無いかも知れませんが、増えてきて、一定の面を構成するようになると、症状がでてくることもあるので注意が必要です。」などと説明させていただいてます。
症状がでてくる際にはどのような症状がでやすいか?というと、認知症とパーキンソン症状がでやすいとされています。認知症の場合は、脳血管性認知症と呼ばれます。アルツハイマー病とは違った病態です。パーキンソン症状がなぜ、でやすいか?というと、解剖学的な理由からです。ラクナ梗塞の責任血管である穿通枝は大脳基底核、内包、視床などに血液を供給しているのですが、大脳基底核(線状体、レンズ核)、視床には錐体外路という運動調節系の神経の道が通っていて、ここにダメージを被るとパーキンソン症状がでます。変性疾患でパーキンソン症状がでたら「パーキンソン病」、今回、ご案内しているようなかたちでパーキンソン症状がでたら「パーキンソン症候群」です。


予防法) とくに高血圧症の患者さんに多いと言われていますので、【高血圧にならないようにする/なってしまったら降圧剤できちんと管理する】ことです。



蛇足、脳梗塞の4タイプ

脳梗塞は4つのタイプがあるとされています。列挙してみますね。
■ ラクナ梗塞 今回ブログ記事 ( #1
■ 脳血栓 2014-10-10ブログ記事 ( #2
■ 脳塞栓 不整脈と関係する脳梗塞 ( #3
■ 分水嶺型脳梗塞 ( #4


図を解説します。血栓の供給源が遠隔器官にある場合です。遠くで作られた血栓が次々に内頸動脈に流れ込むことで( #3 )もっとも広い範囲の梗塞を完成させます。これが脳塞栓。不整脈と関係しています。近々、ブログ記事にしたいと考えています。
次に分水嶺型。2本の血管が持つ責任分担範囲の境目( #4 )でおこる脳梗塞です。境目の領域はモトから血液の供給が手薄な場所です。野球に例えると、2人の外野手がフライを譲り合って、その間に落ちるポテンヒットみたいな脳梗塞。血圧が下がり過ぎた時などに、どちらの血管からも血液の供給が滞って発症すると考えられています。


(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年10月13日 月曜日

血管の病気〈5〉...脳梗塞(脳血栓)

多くの方が典型的にココで脳血栓をおこしている部位っていうのがあります。そのあたりの事情を理解するには、脳の解剖の基礎知識が必要です。今回のブログ記事はこんなところを解説してみます。



血管の閉塞・狭窄;脳梗塞(脳血栓)

ヒトはヒト以外の生物に比較すると、非常に発達した大脳皮質を持っています。大脳皮質に緻密で精度が要求される作業の高度な情報を蓄えてきたからです。これがヒト以外の生物と決定的に違う部分です。大脳皮質はモトモトあった脳の古い部分の上に発達してきました。まぁ新しい部分は上に乗っかるしかないですからね。継ぎ足し、継ぎ足しの連続、違法建築みたいなもんですわ。重要な情報を蓄えている部分なんだから、本来なら中心部にしまいこんだら良いのでしょうが、中心から遠い脳の表層に存在しています。生物の進化を考えるとしょうがないんですけどね。



さて、ここで困ったことがおこります。大脳皮質は旧市街が手狭になったので新しく開発した新都心。アクセスが悪いんですよ。神戸のポートアイランドみたいなもんでしょうか?すぐ連絡橋が通行止めになる関西空港島に例えてもいいですね。


ヒトの進化に話を戻しましょう。モトは小さかったけど、急に発達した大脳皮質、これに血液を供給する動脈はヒトがおサルだったときから数が増えているわけじゃありません。少しずつ、少しずつ、延伸してきたに過ぎません。延びきっていますので血管は細くなります。しかも悪いことに、高度の情報を処理するということはより多くの血液の供給を要求することになりますが、そこは細い血管、疎血になりやすい部分でもあります。我々ヒトではこの延びきった血管が中大脳動脈にあたります。したがって脳血栓は中大脳動脈の流域(領域)で発症することが多いのです。



脳の新しい部分と古い部分の役割分担を下の表にまとめます。
 脳の新しい部分(大脳皮質)  手先、指先の緻密な作業を管理する
 会話を管理する
 知能や知識を管理する
 脳の古い部分  呼吸を管理する
 心臓の動きを管理する

脳の古い部分は血管がまだまだ太い部分にありますので、血流は豊かです。こんなところでは脳梗塞は発症しにくいですから、いきなり呼吸が止まったり、心臓が止まったりはあまりないのです。このヒトの脳の解剖学的特徴によって、【片麻痺】【構語障害】【脳血管性認知症】などの症状が脳梗塞の主たる症状となることが説明されます。
つまり命までは奪われないものの、ハンディキャップが残る、ということになってしまうわけです。



治療法) 管に詰まったものは【溶かす】【掃除する】しかありません。【溶かす】治療として、血栓溶解療法があります。血栓を溶かす薬を点滴するわけです。時間との勝負です。できるだけ早いほうが良いとされています。また【掃除する】治療法として、カテーテルという細い管を血管内に通し、血栓が生じたところまで進めていく脳血管内治療というテクニックもあります。
予防法) 血圧を適切に維持するなど、動脈硬化を予防することが脳梗塞の予防と同じ意味を持ちます。動脈硬化の予防については、2014-10-7ブログ記事を閲覧してみてください。


血栓症が原因の脳梗塞のなかでも、特殊な脳梗塞で、ラクナ梗塞というのがあるのですが、これは次回ブログ記事で。

(記載、管理医師;佐々木)
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2014年10月10日 金曜日

血管の病気〈4〉...脳卒中

動脈の閉塞・狭窄、今回は脳梗塞について記事にしたいところなのですが、その前にウォーミングアップ。脳梗塞やら、脳出血やら、が頭の中で混乱していませんか?



動脈の閉塞・狭窄 ; まずは脳卒中の勉強

脳卒中は致命傷とはならないかもしれませんが、車椅子生活、もしくは、寝たきり状態のきっかけになる病気です。この病気の本質を勉強しておくことで、少しでも皆さんがこの病気を回避することができますよう、また、発症する年齢をできるだけ後ろに引き延ばすことができますよう、願いつつ記載します。



上図のように、脳卒中は分類されます。

脳血管が血栓という凝血槐(血のカタマリ)によって詰まってしまうのが脳梗塞です。

flair血管が血栓によって一時的に閉塞したり、その血栓が溶解して再開通したりを繰り返している状態を一過性脳虚血発作と理解してよいと思います。通常、麻痺などの後遺症は残りません。本当の意味では脳梗塞に分類されませんが、脳梗塞の一歩手前ということで、今回の記事では理解しやすくするため、ココに分類しています。

頭蓋内出血は、脳出血とクモ膜下出血、二つに分類できますが、これらについては【動脈の破綻】の記事で。



さてここで、脳梗塞に2つの型、脳血栓と脳塞栓との違いについて図示して解説します。前回2014-10-7ブログの宿題でしたね。



まず上図の解説から。血管というのは動脈を表しています。動脈は根元が太く、先細りで、根元→先の方向に血流があります。上図でも血管の先細りを表現しています。血管の閉塞は血管径と血栓径が等しくなったところ( #1 )でおこります。スポッとハマる感じですね。
この血栓が溶けてしまうような血栓であれば、一過性脳虚血発作(TIA)ですが、完全に詰まってしまうようであれば脳梗塞が完成します。
比較的近傍で生じた血栓もしくはその場で生じた血栓で血管を詰めてしまうのが、脳血栓( #2 )。脳から遠く離れたところでできた血栓が血流に乗ってきて詰めてしまうのが、脳塞栓( #3 )です。脳血栓であれ、脳塞栓であれ、疾病としての完成像は脳梗塞です。
また脳梗塞に限らず、他の臓器で発症する梗塞についても、血栓症と塞栓症の定義は同じです。



いかがでしょう。脳卒中、脳梗塞、脳血栓、脳出血がゴッチャにいた皆さん。整理できましたか?

(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

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