管理医師のブログ

2014年10月 7日 火曜日

血管の病気〈3〉...動脈硬化

動脈硬化を予防しましょう、とはよく聞くけど、動脈硬化って何?こんな疑問におこたえできればという記事です。まずは動脈硬化を血圧が上がる原因として考えているのなら、これは2014-3-30ブログ記事を閲覧して、考えを正してくださいね。
動脈硬化は高血圧が原因でおこる病変です。動脈硬化は複数の因子が絡み合って成立する病変ですので、高血圧もその複数の因子のうちの一つです、という言い方のほうが正確ですね。
今回のブログ記事は動脈の閉塞や狭窄に係わる動脈硬化について解説します

実は動脈硬化にも種類(3種類)があって、そのうちのひとつ、動脈の閉塞や狭窄に係わるアテローム硬化というタイプの動脈硬化について解説します、と言い方が正確でしょう。
ほかのタイプの動脈硬化につきましては、2014-10-24ブログ記事に記載する予定です。



動脈の閉塞・狭窄;動脈硬化

【健康な血管の状態】
血管は輪切りにすると内側から内膜→中膜→外膜の3層構造になっています。一番内側の内膜は薄い血管内皮細胞でおおわれています。健康な内皮細胞は自らを保護する作用を持つ血管作動物質を放出していますので、血液の成分で凝血塊をつくる働きのある血小板が粘着したり、凝集したり、はおこりません。自身の血管内で血液が凝血塊を作らないのはこれがその理由です。
【内皮細胞の傷害】
内皮細胞が傷つくのが動脈硬化の第一段階です。内皮の傷つく原因の一つとして高血圧があることは既に記載しましたが、そのほかにも、喫煙、高血糖などが挙げられます。

【血管の炎症】
内皮細胞が剥がれると、そこにコレステロールが侵入します。コレステロールの中でも悪玉コレステロールと呼ばれているLDL-コレステロールです。逆に言うと侵入して悪さをするので悪玉コレステロールです。この悪玉コレステロールを処理するために白血球の一種であるマクロファージが発動。白血球系が反応するということは、これはもう立派な炎症です。


【炎症の果てに】
マクロファージはなんでもかんでも体に悪そうなものは食べてしまうという貪食(どんしょく)作用があり、コレステロールも貪食の対象となります。食べ過ぎると死んでしまいます。名誉の戦死です。マクロファージの屍を処理しようとする細胞、侵入を止めようとしないコレステロール、このコレステロールを狙ってさらに集まってくるマクロファージにすでに屍となったマクロファージ、健康だった血管の内膜はいづこに?惨憺たる状況です。これら、なんや、かんやのカタマリをプラーク(粥腫)と呼びます。また、プラークを形成した動脈硬化を粥状動脈硬化と呼びます。

【プラークの破綻】
血管の内腔に出現したプラークも延々成長することはできません。プチンとはじけることになります。すでに内皮細胞は健康な状態ではなく、先述の自らを保護する作用を持つ血管作動物質を放出できなくなっていますので、はじけたところに血液の成分で凝血塊をつくる働きのある血小板が粘着し、凝集します。
その結果、血栓という凝血塊が生じ、血管径以上の血栓がその場で生じたら、その場で閉塞、血管径以下の血栓なら、その場で閉塞をおこさなくても、はがれて血流に乗っていって、もっと先の下流の血管で閉塞をおこします。その場で閉塞させるのを血栓症、下流の血管で閉塞させるのを塞栓症、と分類します。このあたりの解説は次回のブログ記事で。

今回は血管内腔への病変の進展を解説しましたが、病変が外に向かうと、瘤(りゅう)が形成され、瘤がはじけると出血という、これまたタイヘンなことになります。



動脈硬化の予防) 今回、勉強したことで、動脈硬化の予防には2つの対策があるのがおわかりですね。
■ 血管内皮を守ること
■ 血管内膜にコレステロールを侵入させないこと

内皮細胞を傷つけないようにするためには、【高血圧にならないようにする/なってしまったら降圧剤できちんと管理する】【糖尿病にならないようにする/なってしまったら血糖降下剤できちんと管理する】【タバコを吸わない/吸っているのなら禁煙する】ことです。

傷ついた血管内膜にコレステロールを侵入させないためには、【コレステロールを正常域に維持する/場合によっては高脂血症治療薬を内服する】ことです。

中性脂肪(トリグリセリドもしくはトリグリセライド)についてもひとこと。中性脂肪は悪玉コレステロールと呼ばれているLDL-コレステロールと表裏一体、容易にLDL-コレステロールに変身しますので、コイツにも注意しておく必要があります。



EPAに注目!
魚油の成分であるEPAは動脈硬化を防いでくれる作用が報告されていて、実際に治療薬として佐々木もよく外来で処方させていただいています。
http://www.nissui.co.jp/academy/market/21/
http://cholesterol-taisaku-labo.com/medicine/epadel/

(記載、管理医師;佐々木)
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投稿者 医療法人社団ささきクリニック | 記事URL

2014年10月 4日 土曜日

血管の病気〈2〉...虚血性心疾患

動脈の閉塞や狭窄が特異的に起こりやす場所もしくは部位(好発部位)というのがあります、と2014-9-30ブログで記載したのですが、3つの好発部位を例示してみたいと思います。道路に例えると、いつも渋滞してる料金所とか、事故の多い魔のカーブ、みたいな場所ですね。その3つの好発部位は【脳】【心臓】【足】です。


動脈の閉塞・狭窄 ; 冠動脈の病変

3つの好発部位のうち、今回は【心臓】です。どうして、こうもまぁ、脳といい、心臓といい、大事なところばかりにトラブルがおこるのでしょうかねぇ。それはさておき、心臓のためだけの血管(心臓に血液を供給する血管)である冠動脈の閉塞や狭窄で発症する疾病を虚血性心疾患と総称します。 血液の流れを川に例えると、閉塞は堰止められたのと同じこと、堰止められた所から下流は流れが断たれ、土地は干からびます。これがヒトでは閉塞した血管より下流の機能停止、心臓なら部分的に心臓が止まってしまう、という事態となります。部分的に心臓が動いていないんだから、心不全(2014-9-14ブログ記事参照)です。知らんうちに心臓の動き一部止まってました、ということはなくて、通常、激しい胸の痛みを伴います。


さて、ここで冠動脈の所在やら、形状やら。大動脈から2本の冠動脈という、心臓のためだけの血管(心臓に血液を供給する血管)が枝分かれしています。枝分かれというには、冠動脈は大動脈と比較するとあまりに細い。細いので、幹から小枝が出てるみないなイメージでしょうか。2本の冠動脈は左冠動脈と右冠動脈です。左冠動脈は途中で前下行枝と回旋枝に別れるので「大きな3本の冠動脈が心臓の表面を走っています。」みたいな表現をすることもあります。このあたりは201-8-24ブログ記事にしていますので閲覧してみてください。




治療法) 現在はPCIと呼ばれる、血管内治療が数多く行われています。カテーテルという細い管を血管内に通し、閉塞もしくは狭窄が生じたところまで進めていって、まさにその病変がある場所で、バルーンという水風船を膨らませて、強制的に狭まっている血管を内側から押し広げたり、ステントという金属製の輪っかを血管の内側に留置したり、という荒技です。でも昔はバイパス手術という開胸して冠動脈と他の動脈を無理やりつなげるという、もっとえげつない荒技しかなかったことを考えると、まぁヒトにやさしい治療法にはなってきてはいるんですけどね。
荒技ではあるけど、安易にできるってことで、わりとこの血管内治療を受けた患者さんは重篤な病気という意識が欠落していて、禁煙を指導されているのに、遵守しなかったりとか、人体にとっては異物でもある金属製の輪っかをハメているんだから定期的な内服が必要な状態であるのに、外来に通院しなくなったりとか、というヒトにやさしい治療法であるがゆえの問題点もあり、「昔ならバイパス手術なんですよ!」とお諫めしなくてはいけないこともあります。
血管内治療が主流とはいえ、内服治療を否定するドクターはいらっしゃらないと思います。ステントがハマっていても、やはりそれは異物、異物に対する反応として血栓が付着してきたりということも、考慮して血栓のモトである血小板の働きを抑える薬剤やコレステロールを落とす薬剤を内服する必要があります。

予防法) 血圧を適切に維持するなど、動脈硬化を予防することが脳梗塞の予防と同じ意味を持ちます。動脈硬化の予防については、別記事にしたいと思います。


※) 冠動脈造影とPCI
虚血性心疾患の診断法としていまだに一番大事なものとして、冠動脈造影があります。造影剤というエックス線を通さない液体を冠動脈に流し込んでその影絵を見る診断法です。急に影が欠けている部分が閉塞や狭窄です。健康な冠動脈なら急に影が欠けることなく自然な先細りです。動画がありましたので、貼り付けてみました。
http://merckmanuals.jp/home/multimedia/v717339_ja.html?Ref=n&RefId=x&Plugin=WMP&Speed=256&ItemId=v717339_ja

PCIと呼ばれる血管内治療というのも、文面だけではイメージしにくいですよね。わかりやすような動画があったのでこれも貼り付けてみました。
https://www.youtube.com/watch?v=lEAjPeHwxlw 



虚血性心疾患の予防は動脈硬化を予防すること、と記載しましたので、次回記事は動脈硬化について記載することにしましょう。動脈硬化は動脈の病気【狭窄】【閉塞】【瘤】【破綻】いづれにも大きく係わる基礎病変です。

(記載、管理医師;佐々木)
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2014年10月 1日 水曜日

平成26年9月度在宅診療統計開示

以下の表に示しますように、当診療所の平成26年9月度の在宅診療に係る診療統計情報を開示します。
 訪問診療件数   135
 往診件数 2
  (往診のうち、緊急往診件数) 1
 訪問看護指示書交付件数 22
 居宅療養支援事業所あて情報提供書交付件数 47
 在宅看取り件数 1

        
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2014年9月30日 火曜日

血管の病気〈1〉...総論

心臓の病気については、よく外来診療で診せていただくものを中心にご紹介してきましたが、、ひと区切りとします。今回以降は血管の病気について、できるだけ平易に解説してみたいと思います。



血管はまづ大きく動脈】静脈】で大きく2つに分けられます。
また、血管は血液の流れる管。所詮は管ということを考えると、管という筒状のものの形態的な異常は、【つまる(閉塞)】【ほそくなる(狭窄)】【ふくらむ()】【やぶれる(破綻)】の4つに分類できるでしょう。
ですから、これらの組み合わせ、2×4通りの病態が考えられるわけですね。

 

脈 

 閉塞しやすい部位というのがあります。
 好発部位と呼んだりします。
 道路に例えると、いつも渋滞してる料金所とか、
 事故の多い魔のカーブ、みたいな。
 また血液の流れを川に例えると、
 閉塞は堰止められたのと同じ。
 堰止められた所から下流は流れが断たれ、
 干からびます。
 これがヒトでは閉塞した血管より下流の
 臓器/器官の機能停止という事態となります。
 通常、血管がつまると痛みを伴います。
 


 狭窄は閉塞の一歩手前。
 閉塞は、血栓という凝血槐によって血管が
 堰止められる状態ですが、狭窄は、血栓が生じたり、
 溶けたりを繰り返している状態とも考えられています。
 ですから、好発部位も必然的に、閉塞と重なります。
 完全に堰止められるわけではないので、
 臓器/器官も機能低下というところですが、
 狭窄も、閉塞同様、痛みを伴うことが多いです。
 ちなみに、痛みは虚血症状です。
 臓器/器官への血液の供給が滞ることを
 虚血と呼称します。
 
 

 
 
 

 動脈硬化というと血管が硬くなるというイメージですが、
 硬くなるということは、しなやかさが失われることでもあり、
 もろくなるということでもあります。
 もろくなった血管の壁は内側からの血液の勢いや圧力に
 負けて風船のように膨らむことになります。
 これが動脈瘤です。
 瘤が小さいうちは無症状で経過しますが、
 物理的に瘤が周囲を圧迫するほど大きくなることで
 さまざまな症状が発現します。
 これがパチンと弾けると動脈瘤破裂という次なる事態に
 進展することになります。
 


 動脈瘤が弾けた後の次なる事態がこれに当該します。
 実は瘤が破綻した後のほうが、物理的な圧迫症状は
 瘤が圧迫するよりも、より重篤です。
 破綻した後の血管外の血液溜まりを血腫と呼びますが、
 血腫のほうが、瘤より体積が大きくなるということです。
 


 血栓という凝血槐は静脈も堰止めます。
 実は、血栓という凝血槐は、完全に静脈を堰止めることは
 少なく、血栓が生じたり、溶けたりを繰り返していると
 考えられているため、完全閉塞は少ないと考えられます。
 動脈の血流が妨げられた際には、
 堰止められた部位より、下流に問題が生じましたが、
 静脈の血流が妨げられた際には、上流に問題が生じ、
 むくみ(浮腫)という症状が発現します。
 むくみ(浮腫)は腫れ(腫脹)ではありません。
 むくみは痛みを伴わず、腫れは痛みを伴います。
 


 狭窄では血栓が付着しやすくなるでしょう。
 静脈閉塞の解説とほぼ同じ内容です。
 
 

 静脈弁の損傷により、静脈血の流れが滞り、
 滞ると、血管径が太くなり、
 太くなると、さらに静脈弁のタガが緩みます。
 この悪循環で、静脈弁が機能しなくなると、
 静脈瘤となります。

 典型的には下腿(ふくらはぎ)の静脈が
 数珠もしくはポンデリングみたいにボコボコになります。
 静脈瘤も血栓が付着しやすい状態の一つです。
 


 内科的にはあまり無いでしょうね。
 採血した際に青タンができることがありますが、
 これのことですね。

これから後しばらくは、それぞれ2×4通りの血管の病気について、もう少し詳細に(でも平易に)解説してみたいと考えています。

(記載、管理医師;佐々木)
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2014年9月25日 木曜日

心臓の病気〈6〉...失神

2014-9-8のブログ記事で3つに心臓の病気を分類しましたが、それらのうち、今回は【その3】、失神の発現のメカニズムについて記載します。ちなみに、失神は英語ではsyncope(シンコピ)なのですが、失神一歩手前にはpresyncope(プレシンコピ)という小洒落た表現(あくまで個人的な意見です)があります。日本語ではプレシンコピというような小洒落た表現はないですね。えっ、前失神sweat01...ダサくないですか?sad

意識が無くなれば失神というものでもありません。我々の世界では定義がやかましいので、似て非ざるものを列挙して比較してみましょう。似て非ざるものを眺めることで、失神の本質が見えてくるはずです。
 失 神  心臓に原因あり、正確には心血管性失神と呼称する
 心臓からの血液拍出が維持できなくなる病態
 ショックが典型的ですね
 ショックの例→出血性ショックやアナフィラキシーショック
 
 重症もしくは致死性の不整脈もこれに分類
 自律神経発作(血管迷走神経反射)もこれに分類
 意識障害  心臓に問題なく、中枢神経(脳)のダメージが原因
 心肺機能は維持されている
 器質的な問題の例→脳卒中や脳外傷によるダメージなど
               熱中症や脳死もこれに分類
 機能的な問題の例→てんかん や
               椎骨脳底動脈循環不全症など
 その他  低血糖発作や電解質異常など代謝系の問題

少しばかり、専門的になり過ぎてしまいましたね。ざっくり言うと、失神は循環器内科医の守備範囲で、意識障害は神経内科医や脳外科医の守備範囲、その他は代謝内分泌内科医の守備範囲という棲み分けで理解していただいてよろしいのではないでしょうか。この棲み分けを考慮していただいて、受診する際、どの標榜科に行こうか?というときの参考にしてください。

出血性ショック、アナフィラキシーショック、迷走神経反射などの解説は2014-9-16のブログ記事を訪問してみてください。

(記載、管理医師;佐々木)
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